UVA(315-400nm)色素沈着を起こす。ガラスも通る。
UVAとUVBではUVAの方が量的には約10倍多い。皮膚に対する作用はUVBの方が約1000倍強い。
UVB(280-315nm)日焼けを起こす。色素沈着を起こす。
UVC(100-280nm)オゾン層でカット,殺菌灯
季節変化
日本のように北半球にある地域では,夏至のある6月が最も紫外線量が多いが,日本には梅雨があるので,5月の方が紫外線量は多くなる。
日内変化
1日のうちで紫外線量の変化をみてみると,もちろん正午がピークになるが,午前10時から午後2時の間に,1日の紫外線量のほぼ50%が地表に到達する。
緯度
九州では北海道の2倍の紫外線を受けると言われている。
天候
晴れの日を100%とすると,曇りの日でも60-80%,雨の日でも30%程度の紫外線は地表に到達しています。
反射
一般に雪面では80-90%,水面では20-80%,砂面では10-20%,コンクリートや芝生は数%反射すると言われている。
高度
一般に標高が1000m高くなるごとに紫外線量は10-20%増加すると言われている。
サンバーン
一定以上の紫外線に当たると日焼けをおこします。日光浴後数時間から翌日にかけて,皮膚がヒリヒリしたり赤くなったりする紅斑反応です。
サンタン
サンバーンがさめた頃(4日-1週間)から,今度は,黒い日焼け(サンタン)が始まります。
物理的方法
衣服で隠れる所には紫外線は到達しない。布地によって紫外線の透過率は変わります。ジーンズは全く紫外線が通りません。厚でのTシャツなら 90%近く,ナイロンのストッキングでも約 50%紫外線がカットされるといいます。
化学的方法
サンスクリーンなど皮膚に塗って紫外線をカットしようというものです。最近のサンスクリーンは UVAもUVBもカットします。保険で認められたものはないので,購入は薬局やスーパーで購入します。効果のめやすが,SPF(サンプロテクションファクター)という数値です。SPFは,MED(ほんのり皮膚が赤くなる最小の紫外線の量のことをいいます。)の何倍まで日焼け止め効果があるかということです。日本では SPFの値は15程度のもので良い。SPFの値が大きければよいのではなく汗や水でとれてしまうので 1- 2時間ぐらいで塗り重ねるのが大事です。動物実験では,SPF15で光発癌は100%抑制されます。サンタンで得られるSPFはだいたい 2です。動物実験の結果からも早期から使用するほど有用。
日焼けした皮膚局所では,免疫反応に大切なランゲルハンス細胞が減少します。このため排除すべき異物が皮膚に侵入しても,それを認識する能力が低下し,正常な局所免疫反応がおこりにくくなります。もっと大量に当たると,日焼けの影響は皮膚だけにとまるものではありません。全身の免疫反応が低下します。
皮膚癌の約90%は日光露光部に発生します。同じ紫外線量を当てた場合長期に浴びるよりも,短期間に大量の紫外線を浴びる方が,皮膚癌は発生しやすくなります。若い時期に浴びる方が,高齢になってから浴びるよりリスクは高いとされています。同じ人種であれば緯度が10゜赤道に近づくと皮膚癌の発生は2倍になるといわれています。ハワイ在住の日系人の皮膚癌の発生率を調べると,日本在住の日本人の約80倍高いといわれています。
肝斑とは,局所的な原因がなく顔面に発生する後天的斑状色素増強に対する総称です。
性差
男女ともに発生するが,女性に多い。
発症年齢
ほとんどが思春期で月経来潮以後の女性である。
臨床症状
好発部位は両頬部,額部,眼周囲,上口唇,下顎部などである。皮疹はほとんど左右対称性であり,両頬部と前額および鼻背に分布するものが最も多い。臨床的には顔面中央型,頬型,下顎型の3型に分類される。
治療
紫外線の防御。美顔マッサージなどで刺激をしない。経口避妊薬の中止。内服(ビタミンC,ビタミンE,トラネキサム酸,還元型グルタチオン,漢方薬など)。外用薬(試験官内では効力を発揮するようだが,コウジ酸やアルブチンや胎盤エキスどの美白化粧品は医薬品にならなかったことからもそう期待できないでしょう。)ハイドロキノンの外用もありますが,皮膚を刺激して炎症をおこすことがあります。
好発年齢
5〜6歳頃発症し,思春期に著明となる。
原因
遺伝関係が重視される。
臨床症状
顔面,とくに眼瞼,鼻稜を中心として,両頬部,前額部などに対側性に多発する。針頭大から釘頭大までの不整形,類円形の淡褐色〜黒褐色の小色素斑が播種状,対側性に散発多発する。日光の強い春季から夏期に増加,増悪して,秋期,冬期には退色傾向を示す。
治療
治療法に確実な方法はないので予防が重要である。日光照射,とくに紫外線を避ける。
予後
日光光線を避けることにより皮疹は目立たなくなる。思春期以降に漸次不明瞭になる。
好発年齢
成人女性
原因
素因のある人に外来性の物質(ほとんどの場合,香粧品などに含まれているもの)が皮膚に作用して惹起される。日光照射により悪化する。
臨床症状
顔面,頚部,ときに前腕などに境界の不鮮明な赤〜褐〜黒色の色素沈着。拡大してみると微細網状である。
治療
原因と思われる原因物質をのぞくことが重要である。パッチテスト,光パッチテストをして発見に努める。急性期は皮膚のバリアーが破壊されているので化粧を禁止し,副腎皮質ホルモン含有軟膏軟膏,抗ヒスタミン剤内服。マッサージなどの摩擦を禁止,日光照射を避ける。
好発年齢
約半数は20歳台の発症であり,ついで30歳台,10歳台。
臨床症状
大半が海水浴の際の強い日焼けの後,早いものは 1ケ月,おそらくは 2〜 3ケ月を 経て生じている。この日光皮膚炎はしばしば水疱形成を伴っている。肩から上背にかけて多発し,径約 1cmまでの境界鮮明,金平糖形ないし類円形の色素斑で,色調は淡〜濃褐色,時に黒褐色。隆起することはない。
治療
生涯不変,希望があれば皮膚剥削術。
好発年齢
40-50歳以上
好発部位
日光露光部
臨床症状
日本人では小斑型と大斑型とがほとんどで白斑黒皮型はまれである。小斑型の色調は褐色で,大斑型では黄色ないし濃褐色ときにスレート色。
治療
本症に悪性化はなく,とくに治療の必要はない。悪性のものと疑わしい場合は生検する。